紅茶(black tea)

紅茶とは

紅茶(紅茶)は、摘み取った茶葉や芽を乾燥させて、茶葉に含まれている酸化酵素によって完全発酵させた茶葉を沸騰した湯を注いで抽出した飲料物です。

日本語では紅茶と呼ぶ理由は、抽出液の水色(すいしょく)*1が紅色を帯びている事からきていると言われています。英語では紅茶のことをBlack teaと呼びますがこれは茶葉の色からきているとの事です。

*1 水色(すいしょく)は、カラーも水色(みずいろ)と混同されがちですが意味が異なります。そのため紛らわしいことで、「茶湯の水色」と呼ぶのが一般的です。

紅茶の原材料

紅茶の原材料はカメリアシネンシス(Camellia sinensis (L.) Kuntze)と呼ばれる、ツバキ科のチャノキで、実は緑茶やウーロン茶とおなじ種類の茶葉を使っており、その違いとして実は茶葉の発酵度合いの差に由来しています。

そのため同じ茶葉でも発酵の仕方をかえる事で味も香りも変わってきます。

  • 緑茶・・・発酵無し
  • ウーロン茶・・・半発酵
  • 紅茶・・・完全発酵

もともと中国や日本などで多く栽培されているチャノキの茶葉を採取して完全発酵する事で、紅茶がつくられていましたが、1823年にインドのアッサム地方(インド東北部)でチャノキの変種であるアッサムチャの高木が発見された事で、インド全土やスリランカなどでは大規模の栽培がされるようになりました。またダージリンではチャノキの基本種が主として使用されています。

チャノキの基本変種よりもアッサム種の方が渋味が強い傾向がありますが、全体的にチャノキの品種よりも、栽培している産地がそのままブランド名として使用されているケースも多く、交配種なども多くある事で、現在、品種はあまり重要視されていないようです。

紅茶の生産地

紅茶の生産国はインド、スリランカ、ケニア、トルコ、インドネシアとなっています。統計的には紅茶は通常の緑茶とは区別が無いので、茶の生産第2位の中国は除外しています。

一般に標高の高く、冷涼な環境で栽培されているものが、香りが高く渋味が少ない傾向があり、一般的に価格が高く、低地で生産されたものは、茶湯の水色か濃く、渋味が強いものがあり低価格なのが特長です。

標高 高地 低地
香り 高い 低い
渋味 少ない 強い
茶湯の水色 薄い 濃い
価格 高い 安い
主な生産地 ダージリン、ウパ、キーマン ルフナ、アッサム

またスリランカでは、製茶工場の標高によってハイ・グロウン(1,219m:4,000ft)、ミディアム・グロウン(610~1,219m)、ロウ・グロウン(610m(2,000ft)以下と区別している。

ダージリン

インドの東北部のヒマラヤ山麓の標高2000メートルを超える高地でダージリンは100以上の茶園で栽培されています。収穫時期が年3回と決められているため

世界最高の香気で、マスカットフレーバーやマスカテルと呼ばれています。また、パンジェンシーと表現される、好ましい刺激的な渋味を持っています。特に軟水を使用して抽出をすると香気が良くでます。

また一年中収穫ができるわけではなく年3回と決められており、一定期間茶葉を休む事で、おいしさが蓄えられる事で、上品な芳香と香り豊かな風味を作り出すのもダージリンの魅力です。

ウバ

ウパは、セイロン島の南東部にある標高約1000~1700mの高地です。ウバは、ダージリン、キーマンと並ぶ世界三大紅茶の1つです。茶湯の水色は明るい鮮紅色でティーカップに注いだときに内側の縁に金色の輪が浮かび上がる事で、ゴールデンカップやゴールデンリングとも呼ばれています。

また、刺激的な渋味と芳香な風味が特長とされ、わずか数週間のフレーバーシーズンのみですが、メントール(薄荷)の香り(一般的にウバフレーバーと呼ばれる)があり、ストレートで独特の香りが楽しめる紅茶です。ミルクとの相性が良い事でミルクティーとして楽しむ事ができます。

キーマン

中国南東部の1500m以上の高地である、安徽省産で三大銘茶の一つで独特の燻製香をもっている紅茶で、渋味が少なく甘い香りを持っています。キーマン茶は祁門紅茶と書き、キームンやキーモンなどとも呼ばれています。キーマン茶は品質ランクは10以上に分かれており特急茶は蘭のような香りがするといわれています。また、イギリスのエリザベス女王の誕生日の茶会で饗される事でも知られています。

ルフナ

セイロン島南部、標高約200~700mで栽培されている紅茶で、茶湯の水色は深紅色で濃厚な味わいが特長です。強いスモーキーな香気をもっており、上質なルフナ茶はカラメルのような麦芽香をもっており、黒糖のような甘みをと、すっきりとした後味をもっており、ミルクとの相性が良くアラブ諸国で、好まれています。

アッサム

インド北部のブラマトフ河両岸に広がるアッサム平原は、標高が500mと低く世界有数の雨量の多い土地で、世界最大の紅茶の産地でもあります。茶湯の水色は、濃い茶褐色で、甘みの強いコクのある濃厚な味わいを持っています。

ここで栽培された茶葉は、90%以上がCTC製法によって細かく砕いたものを利用しており、ミルクとの相性も良いとされています。

紅茶の等級

紅茶のブランド名である、「ダージリン」、「ウパ」などともに「OP」、「BOP」、「CTC」などといった表記がありますが、これは紅茶の等級を表す物で、茶葉の大きさを表したもので、品質とは異なります。

ただ、世界的な統一ルールではないため、ブランドによって同じ等級であっても大きさが異なる場合があります。

オレンジペコー(OP)

細くねじれた形状をしており全長は7~11mm程度のもので、茶葉の中で最大の大きさになります。橙黄色の芯芽フラワリーを多く含んだものはFOPという。一方で、茶葉をカットしていないホールリーフタイプはこの他、P(ペコー)、S(スーチョン)など。

茶葉が大きいため紅茶に入れる時に蒸らし時間を長めに取って、茶葉のよりをしっかりと戻してあげる事が大事です。

フラワリー・ペコ(Flowery Pekoe, FP)

Pで芯芽を多く含むものを指す。

ペコ(Pekoe, P)

ペコーは、BOPよりも大きく、OPやFOPよりも小さい茶葉の事もいいます。

茶葉の大きさとしては、3~5mm程度で品種によっては、渋味が強くなりすぎる紅茶もあり、香りや濃くがよく楽しめることもあります。

ペコースーチョン(Pekoe Souchong, PS)

Pよりも堅い葉からなる。香りも茶湯の水色もPより弱い。

ブロークン・ペコー・スーチョン(Broken Pekoe Souchong, BPS)

PSの茶葉をカットし、ふるいにかけたもの。BPより大きい。

ブロークン・ペコー(Broken Pekoe, BP)

Pをカットしたもので、BOPより大きいサイズ。

スーチョン(Souchong, S)

PSよりも丸みがあり、大きくて葉は堅い。

ブロークン・オレンジペコー(Broken Orange Pekoe, BOP)

ブロークン・オレンジペコーは、オレンジペコーをカットしてサイズを2~4mmにしたもので、芯芽部分を多く含むものは上級品とされています。一般的にBOPと呼ぶとこれにあたります。 茶湯の水色は濃く、味もこくが出て、香りに優れている特長がある。 セイロンティーでよく目にするサイズ

ブロークン・オレンジペコ・ファニングス(Broken Orange Pekoe Fannings, BOPF)

BOPを篩いにかけたときに落ちる1~2mmくらいの茶葉。BOPよりもさらに細かい茶葉の事をいう
BOPより香りも水色も濃く出るので上級品のティーバッグに使われることが多い。

ファニングス(Fannings, F)

BOPFをふるいにかけたもの。Dより大きい。

ダスト(Dust)

粉状になった茶葉を指す。「ダスト」という名前だから低級品というわけではなく、上質なものから低質なものまで様々である。主にティーバッグに使われる。 最も細か0.5~1mmの粉状の茶葉。良質のものは、良質でかつ浸出が早く、水色が濃く、香味もより強いことから高値で取引される。クズ、チリ、ホコリなどの意味ではないので注意。

CTC製法

細かい粒状でティーバッグに使われる。アフリカの茶葉のほとんどがこのタイプ。CTCは、CRUSH(押しつぶす)、TEAR(引き裂く)、CURL(丸める)の頭文字をとったもの。

濃く早く出るため、ティーバッグやミルクティー向きの茶葉は、このCTC製法によって仕上げられます。